大学生の新卒採用
「氷河期」の不足分補う動き
2012年10月
日本経済新聞
文部科学省の学校基本調査によると、今春の大卒者は昨年比1.2%増の55万9千人で、このうち35万7千人が就職した。就職率は63.9%と前の年に比べ2.3ポイント増え、2年連続でプラスだった。主要企業を対象にした本紙の「13年度採用状況調査」でも全体では今春実績比で採用を増やすと回答しており、足元で大学生の新卒採用は改善傾向が続いている。2008年のリーマン・ショック以降、新卒採用の環境は激変。10年度(10年春入社)には28.6%減と過去最大の落ち込みを記録するなど「就職氷河期」が続いていた。ここにきて採用抑制による不足分を補う動きが顕在化してきたといえる。
提言(和田康伯)(採用コンサルティング)
中小企業の2013年4月入社の新卒採用は、学生の動員数の減少や内定辞退の増加など、過去3年間と比べ苦戦を余儀なくされた活動が目立ちました。一方、学生もなかなか志望企業の内定が獲得できない状況が続き、企業、学生共に採用・就職活動は長期化しました。文科省の調査では、アルバイトなど一時的な仕事に就いた人も含めると、新卒者のほぼ4人に1人の12万8千人が安定した仕事に就けていない現状も発表されています。今後、採用基準の高度化や、シニア層の採用や、海外での採用等、若者にとっては、厳しい就職環境が続くと思われます。若者に社会全体の雇用ミスマッチの皺寄せが来ているように感じます。中小企業における雇用形態の複線化の導入やワークシェア等による雇用構造の変化を通して、若者が活き活きと、働き甲斐を追求できる社会に近づくよう願います。
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